「40」、つまり中年層への青春応援歌のような短編集だ。
大手広告代理店からドロップアウトして、売れないフリーで汲々としている主人公。
ITの覇者からスキャンダルで転落したベンチャー元社長と、恋人のAV女優。
中学から二十年以上引きこもってる男。
末期肺ガンとわかっても酒とタバコときままな生活を変えようとしないコピーライター…。
人生も、もう半ばを過ぎてしまった。
あまり、うまくは生きてこれなかった。
気力も体力も落ちてきてるし、最近いろんなことがうまく行かない。
そんな登場人物 (読者たちでもある) に、作者はあえて 「40から始めよう。黄金の人生はこれからだ」と エールを送る。
この優しいまなざしは、この作者ならではのものと言える。
時として青くさくとらえられたり、深みがない、ご都合主義などと言われがちだけど、こういうストーリーで元気を得て、また頑張ろう、と思う人たちはきっとたくさんいる。
僕もそのひとり。本作品でも素直に笑い、わくわくし、共感し、感動することができた。
まあ確かにちょっと雑なところはある。「ここでそこを飛ばすのか」、とか、「ここまでうまくはさすがにいかないだろう」、というようなつっこみどころはたくさんある。
週刊現代の連載だったようだけど、紙幅がなかったのか、単行本化にあたってあまり手を入れられなかったのか、ふだんこの作者はもっと緻密に組み立てる人なのだが。 でもストーリーはぐいぐいと引き込まれるし、きらきらと光るフレーズもたくさんある。
なによりも元気が出たのがうれしい。
2月 13, 2010
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