12月 13, 2010

悪いあなた

12月 13, 2010 0
「すごいでしょー。今度こそ吹っ切れたでしょ」
「うん。ほんと強力だったね…」



[リンダ・ロンシュタット 「悪いあなた」 の歌詞と訳詞]
Feeling better now that we're through
Feeling better cause I'm over you
ちょっとはマシな気分 あたしたちの関係、もう終わり
ちょっとはマシな気分 もうあなたなんか気にしない

I've learned my lesson it left a scar
Now I see how you really are
心に傷は残ったけれど これもいい勉強ね
あなたのこと 今はよくわかる

You're no good, you're no good, you're no good Baby, you're no good (I'm gonna say it again)
You're no good, you're no good, you're no good Baby, you're no good
あなたはほんとに悪いヤツ
何度でも言うわ
とんでもない人 あなたは

I'm telling you now baby that I'm goin my way Forget about me baby cause I'm leaving this day
あたしは自分の道を行くから
きょう旅立つから
もうあたしのことは忘れてね もうかまわないで

いつもの伊勢佐木町の居酒屋で、ライブの打ち上げ。
今日のオープニングで「悪いあなた」をものすごい迫力でシャウトした恵子は、得意満面でジョッキを空ける。

「だいたいこのあたしがさー、いつまでもつまんない男にひっかかって泣いてるわけないじゃん」
(いや、泣いてたじゃん…)と思いながら、目を合わせないように、こっそりとビールをすする自分。
恵子は「悪い男」に振り回されて、ライブでも号泣を繰り返していたんだけど、
あんまりかわいそうで、
自分も前から実はちょっと気になっていたこともあり、
このあいだ、つい成り行きで告白してしまい…。

…「美人がだいなしだよ」
…「え? え?」

それから別人のように元気になってしまった。
まあ、ボーカリストにはめずらしく単純な娘なんで、一気に気が晴れたんだろう。
かといって、別に付き合いが始まったわけでもなく、
自分としては中途半端な状態が続いている。

「おー、飲んでる? 未成年のクセにおねーさんを口説こうなんて、十年早いぞー」
いきなりもう完璧に泥酔状態の恵子が、乱入してきた。
周りのヤツらが気の毒そうに見守る。
恵子の酒癖の悪さを、よくわかってるんだ。

「…!!」 
アタマにきた。未成年をなめるな。きょうは後悔させてやる。。

12月 10, 2010

またひとりぼっち

12月 10, 2010 0
「だからあの歌はやめとけって言ったのに」
「…うるさいわよ」



[ Lose Again の歌詞と訳詞]
Save me,
Free me from my heart this time.
救いを ください
自由にしてほしい この心の牢獄から

The train's gone
Down the track and I've stayed behind.
みんな行ってしまった ずっと遠くへ
私はここに残ったの ひとりぼっちで

But nothing can free me
from this ball and chain
だけどこの苦しみを 癒してくれるものは何もなかった
I've made up my mind
I would leave today.
だから決めたの 私もきょう旅立つって

But you're keepin' me goin'
でもあなたは そんな私を止めてくれない
I know it's insane
苦しくてたまらない
Because I love you
And lose again
あなたを愛してるのに またひとりぼっちなの

「この歌を歌いきれたら、忘れられると思ったんだもの」
鼻をズルズルとすすりながら、『根岸のリンダ』こと恵子がつぶやく。

恵子と僕は、伊勢佐木町のライブハウスでいっしょにハコバンをしている。ウェストコーストサウンドが中心で、リンダ・ロンシュタットのカバーはけっこう人気がある。

こないだから悪い男に引っかかっているらしく、元気がない。先週、ステージでいきなり号泣したときには、本当に参った。

「『デスペラード』は歌えるようになったんだけどなー」
「まあ努力は認めるけど、まだ忘れられないんでしょ? なにもステージでそんなことにチャレンジしなくたって」
「うん…」
「バックのおれたちとか、お客さんの身にもなってよ。『デスペラード』が無事終わってホッとしてたのに、この歌のときは、ホントにすごかったよ。まるで怪獣みたいな号泣で…」
そう、きょうもステージは中断して、居酒屋で反省会中というわけ。

「ちょっとはプロ意識みたいなものをさ…」
「うん…ごめん…」

しょんぼりしてる恵子を見てると、ちょっといたたまれなくなってきた。
3つ年上なんだけど、あぶなっかしくて。ほっとけない感じ。
18歳の浪人生にこんなに心配させて、
泣き酒まで付きあわせて。
まったくもう…。

「…美人がだいなしだよ…」
「え?」
「え? いや、せっかくかわいいのに…」
「え? え?」
(あ、やばい、つい)

まずい、こんな流れで告白しちゃうなんて…。
これはやばい。

12月 08, 2010

ならず者の恋

12月 08, 2010 0
いろんな人が歌っているけど、きょうはこの人。
リンダ・ロンシュタット。



[デスペラード:歌詞と訳詞]

Desperado,
why don't you come to your senses?
You been out ridin' fences for so long now
ならず者のあなた
ずっとフェンスに座り込んでないで
そろそろ考え直したら?
Oh, you're a hard one
But I know that you got your reasons
かたくなな人ね でもわかるわ
These things that are pleasin' you
Can hurt you somehow
喜びと思ったことが自分を苦しめることも あるものね


Don't you draw the queen of diamonds boy
ダイヤのクイーンは引いちゃだめ
She'll beat you if she's able
きっとあなたはボロボロになる
You know the queen of hearts
is always your best bet
ハートのクイーンなら
一番なのに

Now it seems to me, some fine things
Have been laid upon your table
すぐ手元に幸せは あるように見えるのに
But you only want the ones that you can't get
あなたはいつも ないものねだりばかり


伊勢佐木町の片隅にアメリカンポップスがよくかかるライブ・バーがあって、一時そこのハコバンをしていたことがある。

「It's So Easy」とか「ルーズ・アゲイン」がよく流れていた。壁には「Simple Dreams」のLPが飾ってあって、ジャケットの色っぽいリンダの写真にずっと見とれていたのを覚えている。たぶん77年か78年だったんだろう。

ドゥービーとかのハードな曲は防音上できなかったんで、もっぱらイーグルスやカーラ・ボノフなんかの、ちょっと静かめのウェストコーストサウンドを演奏していた。

当時はやっぱり、リンダの曲は外せない。ボーカルをしてくれてた娘は、「根岸のリンダ」というえらくローカルな通り名をもった、地元ではちょっとした有名人で、なかなかリンダする歌声を聞かせてくれた。

背も高く、長い黒髪。ジーンズにブーツ、カントリーっぽいシャツ。ファッションも雰囲気ばっちりなんだけど、ルックスはかなり細面。リンダの夢見るような童顔丸顔とはだいぶちがいながらも、シャープなオトナの美人という感じだった。

けっこう常連のファンもついて、バンドは順調だったんだけど、ある日、大変なことが起こった。この曲「Desperado」をプレイするときさ。

ピアノのイントロを聞いている時から何かヘン。「♪Desperado~」(ならず者のあなた…)と歌い出したとたん、大粒の涙をボロボロと…。サビをむかえるときには、マイクをもったまま座り込んでしまい、凍りつく客席には、ただ号泣しか届かず…。

あわてて肩を抱いて、外に連れだした。残ったメンバーは仕方なく、インストで「ジュリエット」とかやってたらしい。

「がまんできなかったのよ…」
とりあえず入った居酒屋で、生ビールを一気に空けたその娘は、大きな瞳を真っ赤にして、つぶやいた。
つらい恋を、していたらしい。

「あのろくでなし。あたしっていうハートがありながら…」。

そうか、彼女のならず者は、ダイヤのクイーンにぞっこんだったんだ。

「そりゃ、無理だ。それじゃあ、あの歌はまともに歌えるわけ、ないよね」
「当たり前よ。少しは気、使ってよ」
「いや、だって、まさかそんな…」
「うるさいわよ。…もう、朝まで飲むからね」
「はいはい」

たしか3つぐらい年上だった。でも、子どもみたいな泣き顔がなにか可愛くて。
いつ果てることもないグチ話を、ずーっと聞いていた。
夜はまだ、これから…。

12月 03, 2010

なんクリ 黄昏のハイウェイ

12月 03, 2010 0
これこれ、これこそAOR…



[ボズ・スキャッグス / You Can Have Me Anytime 歌詞と訳詞]

Here We Are, In A Room Full Of Strangers
And An Open Door
ぼくらはここにいて 人の群れに囲まれて
そしてドアは静かに開いている

Here We Are, Away From All Danger
But That Open Door Is Calling Out Again
ぼくらはここにいて なんの恐れもなく 安らかに
でも あのドアは静かに開いて 君を呼んでいる

Acting Like A Friend Who Wants To Know
If You Might Come Away
まるでただの友だちみたいにふるまって
「もう行くの?」なんて軽口で
I Wonder What You'll Say
You Wonder Out Again.
でもほんとは 君がなんて言うのか 怖くて
君も迷ってて

On Wings Of The Night
Once Again You'll Take Flight
夜の翼がやってきて 君はまた旅立ってしまう
And I Don't Hear Your Voice Anymore
Tonights Dreams Will End
もう君の声が聞こえない
夢は今夜終わる
But I'll Stay Long After Then
And You Can Have Me Anytime.
だけどぼくはまだ ずっとここにいるから
いつでも もどってきていいから


まさに80年代。
名盤「ミドル・マン」に入ってた曲。
デビットフォスターとの共作らしい。うん、そんな感じのサウンド。
邦題が「トワイライト・ハイウェイ」…。いや、でも当時はアリなタイトルだったよね。
この曲も、映画「なんとなくクリスタル」で流れてた。

後半のギターソロは歴史に残る名演。
フレーズのひとつひとつ、口でも言えるなー。
ルカサーじゃなくてサンタナだったのか。ちょっと意外。

しかし、ボズの歌声はやっぱりいい。
細くて、鼻にかかって、甘ったるい声なんだけど、
なんともオトナな感じ。こういうバラードを歌わせると、そのよさが際立つなー。


この曲を聞くと、いろんな風景を思い出す。
日暮れのころの鎌倉海岸とか、夜の有栖川公園とか、夜明けの山下公園とか。
ちょうど1980年。自分、二十歳だもんな…。
みんなー、元気でいるかい…。

12月 02, 2010

クールナイト

12月 02, 2010 0
そういえば、こういうのを「AOR」って言ってたっけ…。


[PAUL DAVIS "Cool Night" 歌詞と訳詩]

I sometimes wonder why
All the flowers had to die
悲しいね
どんな花もみんな 
いつか枯れていってしまう
I dream about you
And now, summer's come and gone
ぼくはずっと君のことを思っていたけれど、
あの夏はいつのまにか過ぎ去ってしまった
And the nights they seem so long
Come on over tonight
Come on over
また長い夜がやってくる 
今夜だけでも そばにいてほしいのに

It's gonna be a cool night
Just let me hold you
By the firelight
きっと寒い夜になる 
君を抱きしめたい あたたかな炎のそばで
If it don't feel right
You can go
それが無理なら、しかたないけれど
Oh-oh, when the cool night
Brings back memories
Of a good life
こんな寒い夜には 楽しかった頃の思い出がよみがえってくる
When this love was not so old
あの頃は 僕らの愛はこんなに古びていなかったのに

切ないなあ。
いや、この人のカメラ目線が、ではなく…。

あなたのことをずっと考えて
燃え上がった夏の恋。
季節は過ぎ去って、
でもまだ燃え残った僕の心は、
凍えた胸を抱えて、
夜を乗り越えられない…。

ちょっとできすぎの感じもあるけれど、
こういうシチュエーションの胸の痛さに
共感しない人はいないよね。
みんな恋の前科持ちだもの。


 
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