AERAの増刊No,56、「ゆっくりAERA」。
2004年の12月発行。いまでいうスローライフのはしりのようなムックでした。
以下は、この巻頭に掲載された、よしもとばななのエッセイです。
特にコメントはありません。
ただ、この、胸にまっすぐに届くメッセージを、
しっかりと書き留めておきたかったのです。
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単純に、バカみたいに
「みんな、どうしてしまったんだ。
そんなにすごくならなくてもいいじゃないか、と思う。」
「この時代の日本が人に要求することは、ほとんど超人になれというようなことばかりだ。」
「特に、おじさんと若い女性にその重みはのしかかってきていると思う。」
「年齢を超えてきれいで、情報には敏感で、お金も稼いで、過去の価値観からは離れ、でも親とも円満に、男にもかしずき、子も産んで…そんなことを要求されているのが、今の若い女性だ。
どう考えても無理だろうと思う。」
「マスコミでは、一部を誇張した成功者の話ばっかりが、いいふうに毎日流されて、
…みんな自分にうんざりしていて、超人的にがんばらなくては自分を好きでいられないような心境になっているように見える。」
「私たちは…自分の情熱を燃やすために、向いていることをこの人生でやりつくすために生まれてきたのではないだろうか。愛する人々への愛情を抱きながら、たくさんのよき思い出をつくって、それを大事に抱えて悔いなく死ぬためにここにいるのではないだろうか?」
「忙しくいらいらして働いて、一回も立ち止まらず、人生を捨てた形でいつも自分は何かが足りないと思いながら、死に急ぐためでは絶対にない。」
「もう、ひとりも負けないで欲しい。時代に押しつぶされて、かけがいのない笑顔を失わないでほしい。」
「今日見たものの事を考えたり、しゃべったりしながら、普通に友達とか家族とかと過ごそう。仕事はそこそこできて、失敗もして、たまには達成もして、それを自分の小さな誇りにしよう。見たくないものやしたくないことのために使う時間を減らそう。ただ漫然と生きているだけの時間を減らそう。
でもしゃかりきに何ものかになろうとしたり、自分から発信したりなんかしなくていい、そんな疲れることはやめよう。ペースを落として、ひとつひとつの行動を寝る前に振り返ろう。
一日健康でいられたことに、平和に、家族が生きていられたことに普通に感謝しよう。」
「体を整えてよく見れば、一日の中には必ず宝が一個くらい眠っている。それを大事に輝かせて、いい眠りの中に入っていこう。形ではない。どんな人とも違う、自分だけのやり方がある。それを思い出そう。」
「そんなことから、世界はもう一度新しい一歩を踏み出すのだと思う。」
「すべての人が持っているはずだ。『あなたがいてくれてよかった』とほかの人に思われるようなところを。」
4月 09, 2010
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