中2の長男が英文法で悩んでいるのを見て、思い出したこと。
語学書の編集をやっていたころ、
部下に「文法オタク」がたくさんいた。
編集者が「オタク」になってしまうのはいかがなものか。
テーマについて「大好き」であることは大前提だけれど、
ある程度のクールな距離感というか、客観性が必須なのではないか。
…と、自分では思うのだけれど、実際みんなオタクだったのだから、しかたがない。
どのへんがオタクかというと、
文法を詳細に知っているとか、
用例に異様にくわしいとか、ではなくて、
(もちろんそういう面もありつつ、なのだけれど)
文法や語法自体をまさに「愛している」という感じなのだ。
「グラマー・ラブ」というか。
少々「偏愛」方向に走っているところがあって、
あまり気持ちよくはない。。
たとえばこんな会話。
「of はいいよね」
「いいね」
「あの語感とかさ、たった二文字できりっとしてるとことかさ」
「おお、おお」
「熟語になったときの、たたずまいとかね」
「コロケーションもね」
「おお、おお」
「of じゃなきゃありえないよな」
「やっぱ of だよ。最高だよな」
…前置詞ひとつで、そこまで盛り上がるか。
二文字でそんなにいいなら、
betweenとかだったらどうなる。
「betweenって、いいよね」
「泣かせるよな」…
一晩中語りあかせるのかしら。
あるいは世界で一番長い英単語なんかだったら。
「あのLLANFAIRPWLLGWYNGYLLGOGERYCHWYRN…」
「でもLLANFAIRPWLLGWYNGYLLGOGERYCHWYRN…の気持ちになってみたらさ…」
おそるべし、文法オタク。
今はその編集部も解散して、もう会うこともないけれど、
聞くところでは文法オタクどうしで結婚したやつらもいたとか。
of が取り持つ仲だったのだろうか。
3月 19, 2010
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